Amazonで商品を販売するとその売上は2週間に一度、自分の口座に振り込まれます。そのときに売上金が少ないなと思ったことはありませんか?その売上は「留保中のトランザクション」としてAmazon側でキープされている可能性があります。
今回は「留保中のトランザクション」とは何か、留保される売上を減らすにはどうすればいいかを解説していきます。ぜひ参考にしてみてください!
留保中のトランザクションとは

Amazonセラーセントラルの「留保中のトランザクション」とは、売上が発生しているにもかかわらず、まだ出品者に支払われていない資金のことを指します。これはAmazonが一時的に売上を「保留」している状態です。
何か問題があるわけではなく、遅れて売上として支払われることが多いです。ではなぜ資金が留保されてしまうのでしょうか。
資金が留保されてしまう理由は「信用性の低さ」と「購入者の保護」です。正当に商品を販売している方でも、機械的に見ると信用が溜まっていない状態で、Amazon側から資金を一度キープされてしまいます。また、Amazonは購入した方を最優先するので、購入者に不利にならないように資金を留保する場合もあります。
具体的にどのような場合なのか見ていきましょう。
注文の処理中または未発送
商品がまだ発送されていない場合、Amazonは購入者保護のためにその資金を保留します。
注文から日が浅い
注文されてから日が浅いと返金やキャンセルの可能性があるため、Amazonは購入者が商品を受け取り、返金請求のリスクが減るまで資金を留保します。
アカウントの健全性の問題
苦情や遅延、ポリシー違反があると、追加のリスク評価のために資金が保留されることがあります。
例えば偽物の商品を販売して大量に返品が来ても、Amazonは返すお金がありませんよね。そして悪いことをしようとした人が、口座に振り込まれたお金をAmazonにスムーズに返すとは思えません。
偽物を販売しようと思って販売していなくても、苦情や違反があった場合は留保される資金が増えることに繋がりますので、そのリスクがないように商品仕入れや納品をしていきましょう。
新規セラーまたは急激な売上増加
新しいアカウントや急に売上が伸びた場合、リスク管理の一環で資金が一時保留されることがあります。
新しいアカウントだと、そのアカウントが良いセラーかどうか判断がつきません。今から販売を始める方には苦しい話ですが、新規出品者のほとんどは留保中のトランザクションが多くなってしまいます。
チャージバックやクレーム発生中
購入者からのクレームや返金リクエストが発生すると、その該当トランザクションは調査中として留保されることがあります。
保留中のトランザクションは、セラーセントラル→レポート→ペイメント→トランザクションの表示または留保中などのフィルタをかければ詳細を確認できます。
どのくらいの資金が留保されているのか、次の支払日にはどれだけ資金が口座に振り込まれるのか、確認してみましょう。
では、留保中のトランザクションはセラー側ではどうすることもできないことが多いです。Amazonへショップの信用を積み重ねていかなければなりません。

ですが、売上は早く手元に戻ってきたほうが資金を有効活用できます。留保中のトランザクションはなるべく減らしていきたいところです。
セラー側でできることといえば「アカウントの健全性」の数値を良い数値に保つことです。アカウントの健全性についても確認していきましょう。
アカウントの健全性とは?

Amazonセラーセントラルの「アカウントの健全性(Account Health)」とは、出品者としての信頼性やパフォーマンスをAmazonが評価する指標です。Amazonでは、顧客満足を非常に重視しており、健全性が悪化すると販売制限やアカウント停止につながる可能性があります。
Amazonセラーセントラルの「アカウント健全性」ページでは、主に以下の項目がチェックされます。
パフォーマンス指標(Performance Metrics)
指標名 | 説明 | 目標値 |
遅延出荷率(Late Shipment Rate) | 出荷予定日を過ぎて発送した注文の割合 | 4%未満 |
注文不良率(ODR:Order Defect Rate) | クレーム、低評価、チャージバックなどの割合 | 1%未満 |
追跡可能率(Valid Tracking Rate) | 有効な追跡番号を付けた出荷の割合 | 95%以上 |
キャンセル率(Pre-fulfillment Cancel Rate) | 出荷前に出品者がキャンセルした注文の割合 | 2.5%未満 |
ポリシー違反(Policy Compliance)
- 商品の真贋問題(偽物・類似品の通報)
- 出品禁止商品の掲載
- 商品説明や画像のルール違反 など
②の出品禁止商品の掲載に関しては、Amazon物販における必須ツール「セラースケット」を利用することで、ほぼ100%仕入れ前に防ぐことができます。こちらも参考にしてみてくださいね。
知的財産権の侵害
ブランドからのクレームや商標・著作権侵害などがこの「知的財産権の侵害」にあたります。
具体的には、偽ブランド品の販売、許可なく他社の商品画像を使用すること、非正規品を正規品として出品することなどが挙げられます。また、他社の特許技術を無断で使用した商品を販売することも該当します。
非正規品を正規品として出品することなんてないのでは?と思ってしまいますが、メーカーが公式ショップとして販売している場合に、正規ルートから仕入れていても、販売できないようにしていることがあります。注意しましょう。
アカウントの健全性を良くするには
アカウント健全性を良好に保つ・改善するための具体的な対策を4つ解説していきます。
商品出荷・配送を最適化
- 発送は予定より早く行う(遅延ゼロを目指す)
- 正しい追跡番号を必ず入力する
- 在庫管理を徹底し、在庫切れによるキャンセルを防ぐ
こちらはFBAではなく自己配送を行なったときの注意点です。Amazonは何よりもスピード出荷を重視しています。カート取得率などにも関わってきますので、自己配送の際は遅延を行わないようにスケジュールを組みましょう。
商品ページと顧客対応の改善
- 商品説明、画像、タイトルを正確に
- お問い合わせや苦情には迅速・丁寧に対応する
- クレームには真摯に対応し、ODRを下げる努力をする
Amazonのセラーセントラルページにて「対応が必要なメッセージがあります」といったポップアップが出る場合があります。その対応はなるべく素早く、丁寧に行いましょう。
Amazonのポリシーを遵守
- 出品禁止商品やルール違反を避ける
- Amazonのガイドライン(知的財産、商品登録など)を定期的にチェック
フィードバックを活用
配送についてや、梱包についてのレビューがつくときがあります。顧客からフィードバックがあった場合はサービス改善を心がけましょう。
注文管理画面からAmazonの自動メッセージで購入した顧客にレビューを依頼できます。ショップオリジナルの文章を送付することもできますので、確認してみてくださいね。
レビューが著しく低くなってしまうとショップの信頼が下がってしまいますので、当たり前ですがそうならないような商品の仕入れや配送を行いましょう。Amazonや商品自体に問題があって低いレビューがついた場合には、Amazonへ取り消しの申請を行えますので、放置せずに申請しましょう。
警告が表示されている場合は、原因と推奨アクションが表示されるので、指示に従って対応しましょう。滅多なことがない限りありませんが、もし警告が表示されたら素早く対応してください。「改善計画」の提出が要請される場合もあります。
まとめ
「留保中のトランザクション」は一時的な処理であり、通常は問題がなければ一定期間後に自動的に出品者の残高に反映されます。頻繁に発生する場合や金額が大きい場合は、アカウントの健全性や配送状況をチェックすることをおすすめします。
必要であれば、Amazonサポートに問い合わせて具体的な留保理由を確認することも可能です。
また、アカウントの健全性を良い数値に保つことで、留保される資金を少なくできるかもしれません。(実際にAmazonが発表しているわけではありません。)アカウント健全性を良くして、資金の回転も良くしていけるといいですね!